こども「ごしごーし、ごしごーし」
男(21)「おうおう坊や、ボール磨きとは偉いな」
こども「うん!みてみて、きれいでしょ!!」
男(21)「う~む、まだ汚れが落ちとらんなぁ」
こども「わかった!もっとあらってみるね!!」
― 30分後 ―
こども「ごしごーし、ごしごーし」
男(21+30分)「おうおう坊や、まだ磨いとったか」
こども「うん!みてみて、きれいでしょ!!」
男(21+30分)「うーむ、まだ落ちとらんなぁ」
こども「わかった!もっともっっとあらってみるね!!」
― 1日後 ―
こども「ごしごーし、ごしごーし」
男(21+24時間の寿命消費)「おうおう坊や、まだ磨いとったか」
こども「うん!1にちじゅうココでずっとみがいたんだ!きれいでしょ!!」
男(21+24時間の寿命消費)「うーむ、全然落ちとらんなぁ」
こども「おじちゃんきれいずきだね!もっともっとたくさんあらってみるね!!」
― 10年後 ―
こども「・・・」(ゴシゴシ、ゴシゴシ)
男(31+10年のニート屑生活堪能中)「ん?キミはあの時の坊や?!まだ洗ってたのか!!」
こども「ずっと、あらってたんです、どうでしょうか?」
男(31+10年のニート屑生活堪能中)「うーむ、かなり綺麗になったが・・・まだだな」
こども「おじさんのきれいずきはいじょうだなぁ・・・それじゃぁ、もっとあらうね」
― 100年後 ―
こども「ごしごーし、ごしごーし」
男(転生してなおクズなニートの21歳)「・・・!?!?!お、お前は・・・もしや・・・」
こども「・・・前世の記憶が無くなっても、このボールとおじさんの事、忘れてませんでした」
男(転生してなおクズなニートの21歳)「そ、そうか・・・ずっと、この場所で、そのボールを洗ってたのか・・・」
こども「綺麗好きなおじさんに認められるまで、ずっと洗っておきました
それが、前世からの使命、そしてこれからの、使命・・・」
男(転生してなおクズなニートの21歳)「クッ!!坊やと言う奴はなんて健気な・・・ッ!!それなのに俺は・・・ッッ!!」
こども「・・・おじさん!!」
男(転生してなおクズなニートの21歳)「!?」
その野球ボールは確かに綺麗だった
まるで少年の心のように綺麗だった
俺の心には到底届きそうにもない程の綺麗なボール
この綺麗なボールが出来たのは俺のたった一つの我儘で人生を費やしてまで磨いてくれた少年の手だった
けど、やはりこのボールは汚かった
決して少年が磨いたボールが汚い訳じゃない・・・
加藤良三
この忌わしい名前がある限り、このボールはずっと穢れたまま・・・
俺は少年に言おうとした時、少年は俺の思考を読んだのか、先に喋りだした
こども「・・・この名前、全然落ちないんですよね・・・
ずっと磨いても全く落ちないんです・・・」
男(クズから浄化しようとしているニートの21歳)「・・・」
こども「けど、落とす方法、見つけました」
男(クズから浄化しようとしているニートの21歳)「・・・なんだと!?」
こども「はい、この名前を消す方法は前世の時から見つけたもの・・・
けど、おじさんにその忌わしい名前の消し方を見てみたかったんだ
だからずっとおじさんを待ってた
・・・そして、待ってた甲斐がありました」
男(クズから浄化しようとしているニートの21歳)「そうか・・・」
こども「今から、消して見せますね!」
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